
人生の大きな節目である結婚や子育てには、多額の資金が必要となります。そんな時、親や祖父母から資金援助を受けられると大変助かります。しかし、まとまった資金を渡したいけど贈与には贈与税がかかるため、税負担が心配という方も多いのではないでしょうか。そこで活用できるのが「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度」です。本記事では、この制度の内容や適用条件、注意点について分かりやすく解説します。
この制度は、親や祖父母が子や孫に対して、結婚・出産・育児に関する資金を一括して贈与した場合に、その金額について一定の限度まで贈与税が非課税になるという特例制度です。通常、贈与を受けると贈与税が課されますが、この制度を利用すれば非課税枠は最大1,000万円であり、この枠内であれば贈与税を払うことなく資金を受け取ることができます。
この制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
非課税で贈与できる金額は、最大1,000万円(そのうち、結婚資金としては300万円まで)までです。たとえば、結婚費用に300万円、出産・育児費用に700万円という振り分けで非課税枠を活用できます。
信託銀行や銀行等の金融機関を通じて、「結婚・子育て資金管理契約」を締結する必要があります。受贈者は資金の預け入れをする日までに「結婚・子育て資金非課税申告書」を金融機関等の営業所等に「結婚・子育て資金非課税申告書」の提出等を行います。贈与された資金は、金融機関に専用口座を開設し、そこから必要な費用を支払う形になります。
贈与された資金は、金融機関により管理されます。支出するたびに領収書や請求書を提出し、資金が適切に使われたかを証明し、払出し請求をします。
提出する証憑は次のいずれかの方法の提出期限までにその金融機関等の営業所等に提出します。
1.結婚・子育て資金を支払った後にその実際に支払った金額を口座から払い出す方法を選択した場合
→ 領収書等に記載された支払年月日から1年を経過する日
2.1以外の方法を選択した場合
→ 領収書等に記載された支払年月日の属する年の3月15日
贈与を受けた年の翌年3月15日までに申告が必要ですが、上記で提出した「結婚・子育て資金非課税申告書」を、金融機関を通じて受贈者の住所地を所轄する税務署長に提出しますので、自身で申告する必要はありません。
結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度では、資金の使い道が厳密に定められています。この制度では、以下のような費用が非課税の対象となります。
以下のようなケースは非課税になりませんので、注意が必要です。
これらの費用は、結婚・子育て資金として認められず、専用口座からの支払いができません。制度を利用する際には、「これは本当に結婚・出産・育児に直結する費用か?」を一度立ち止まって確認しましょう。
この制度を利用する際には、いくつかの注意点があります。
贈与された資金を全額使い切れなかった場合、未使用の資金は贈与税の課税対象となります。つまり、受贈者が50歳になった時点で残っている資金には贈与税が課されるため、計画的に資金を使うことが重要です。
贈与者(親や祖父母)が亡くなった場合、未使用分については、相続税の対象となる可能性があります。特に注意すべき点として、受贈者が贈与者の子以外(孫など)の一定の者である場合、管理残額については、相続税額の2割加算の適用を受ける可能性があります。
この制度には適用期限が設けられており、今後の税制改正により延長されるか、変更される可能性があります。利用を検討する際は、最新の情報を確認しましょう(令和9年3月31日までの贈与が対象)。
結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税制度は、大きなライフイベントを迎える子や孫を支援するために非常に有効な制度です。ただし、適用条件や注意点をしっかり理解し、計画的に活用することが求められます。
この制度を活用することで、子や孫がスムーズに新しい人生をスタートできるようサポートできるでしょう。利用を検討する際には、税理士や専門家に相談し、正しく運用することをおすすめします。
下記、簡単にポイントをまとめておきます。
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