【消費税】非課税と不課税と免税の違い


消費税は、国内の商品やサービスの提供などの消費活動に伴う取引に対して課される税金のことで、取引の性質上、消費税の課税対象にそぐわない取引に関しては「非課税」となる範囲があります。その他にも似た言葉で「不課税」「免税」となる取引があり、その違いを正確に把握することはとても重要です。今回は、消費税に関して非課税、不課税、免税の違いを説明します。

消費税の課税範囲

消費税の課税範囲は下記、2つと国で定められています。
① 国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等
② 海外からの輸入取引

非課税取引の具体例

上記取引に当てはまるが、消費税の性格や社会政策的配慮の側面から課税にそぐわない取引があります。それが「非課税取引」といいます。具体例を下記に示しています。

【消費税の性格上、課税にそぐわない取引】
1. 土地の譲渡、貸付け(一時的なものを除く。)など
2. 有価証券、支払手段の譲渡など
3. 利子、保証料、保険料など
4. 特定の場所で行う郵便切手、印紙などの譲渡
5. 商品券、プリペイドカードなどの譲渡
6. 住民票、戸籍抄本等の行政手数料など
7. 外国為替など

【社会政策的配慮の側面から課税にそぐわない取引】
1. 社会保険医療など
2. 介護保険サービス・社会福祉事業など
3. お産費用など
4. 埋葬料・火葬料
5. 一定の身体障害者用物品の譲渡・貸付けなど
6. 一定の学校の授業料、入学金、入学検定料、施設設備費など
7. 教科用図書の譲渡
8. 住宅の貸付け(一時的なものを除く。)
(国税庁 HP https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm 引用)

不課税取引の具体例

上記取引に当てはらない取引が「不課税取引」といいます。
1. 給与・賃金:「労働」の対価であり、「事業」ではないから。
2. 寄付金、祝い金、見舞金、補助金等:一般的に対価として支払われるものではないから。
3. 無償による試供品や見本品の提供:対価の支払いがないから。
4. 保険金や共済金:資産の譲渡等の対価といえないから。
5. 株式の配当やその他の出資金の分配金:株主や出資者の地位に基づいて支払われるものであるから。
6. 資産の廃棄、盗難や滅失があった場合:資産の譲渡等に当たらないから。
7. 心身又は資産の損害の発生の損害賠償金:対価として支払われるものではないから。
※だだし、損害賠償金でも次のような場合は対価性があり、課税の対象となります。
① 損害を受けた製品などの棚卸資産が加害者に引き渡される場合で、その資産がそのままで使用できる場合や軽微な修理をすれば使用可能な場合。 ⇒ 例えば、棚卸倉庫にあった洋服に飲み物をこぼしてしまい、弁償したとします。しかし、その商品は染み抜きすれば充分使えるというような状況であれば、損害賠償金はその商品を買い取ったものとみなされます。
② 無体財産権の侵害を受けたために受け取る損害賠償金が権利の使用料に相当する場合 ⇒ 特許や商標登録されている商品を無断でコピーされて使用されたような場合に、無断使用の損害賠償金を請求するとします。この損害賠償金については、受け取った時点で特許や商標の使用料とみなされます。
③ 事務所の明け渡しが期限より遅れたために受け取る損害賠償金が賃貸料に相当する場合 ⇒ 通常の賃貸料と同じ効果だとみなされ消費税の課税取引となります。

免税取引の具体例

海外への商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者に対するサービスの提供などの輸出類似取引が該当します。
輸出類似取引は課税資産の譲渡に当たりますが、一定の要件が満たされる場合、その売り上げについて消費税が免税されるものです。したがって、その輸出や輸出類似取引などの免税取引のために行った課税仕入れは、原則として仕入れにかかる消費税を控除することができます。したがって、免税では消費税を課さないのではなく、消費税0%課税すると言えます。

下記のような場合、消費税がかからない免税取引になります。
① 日本国内からの輸出として行われる資産の譲渡、貸付け(一般的な輸出取引)
② 日本国内と国外との間の通信、郵便、信書便 ⇒ 国際電話・電話料、国際郵便料金など
③ 非居住者に対する鉱業権、工業所有権、著作権、営業権等の無体財産権の譲渡、貸付け
④ 非居住者に対する役務の提供 ⇒ 腕時計の修理や弁護士による法律相談など、日本国内でサービスが終結するものではないため、免税取引として扱われる。
※上記、④「非居住者に対する役務の提供」について、以下のような場合は免税されない取引となります。
(1)国内に所在する資産の運送や保管
(2)国内における飲食や宿泊
(3)1.2に準ずるもので国内において直接便益を受けるもの
⑤ 免税店での取引

非課税と不課税と免税の区分の重要性

非課税、不課税、免税は消費税が課税されないことは同様ですが、課税なのか、そうでないのかを区別することはとても重要です。なぜなら、区別が適切でないと、本当は仕入税額控除できるのにそれをせずに損をしたり、また誤って仕入税額控除してしまい税務調査が入った際に指摘されたりして、更正を受けたり、修正申告を行う必要が出てきます。正しい申告書を作成するためには、きちんと区分した方が良いでしょう。


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