個人事業主が家族に給与を支払う場合、一般の従業員への給与と同様に取り扱うことは出来ません。事業に専ら従事する者として「専従者」と呼び、特別の取り扱いをされます。
一定の要件を満たすと青色事業専従者給与の特例が適用され、実際に支払った金額が所得から控除されることになります。同一生計で有るため「実際に」支払ったかが税務調査で問題になることもあるため、支払の事実を客観的に確認出来るように資料を残しておくとよいでしょう。
●認められる要件
・青色申告事業主の配偶者又はその他の親族であり同一生計であること
・申告年の末日に年齢が15歳以上であること
・申告年の年間に6ヶ月を超える期間(一定の場合には従事可能な期間の2分の1を超える期間)、専ら(もっぱら)その事業に従事していること
・期限内に「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄税務署に提出していること
・「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載した方法により支払われており、その記載した金額以内で支払われたものであること
・支払われた金額がその労務の対価として相当であると認められる範囲であること(過大とされる部分は専従者給与から除外され控除を受ける事が出来ません。)
●届出の提出期限
青色事業専従者給与として認められる為には事前の届出が必要となります。
控除を受けようとする年の3月15日までか、年の途中で専従者となった場合はその日から2ヶ月が届出期限です。
●上限金額
青色事業専従者給与として認められる金額には上限は定められていません。しかし、無制限というわけではなく、労務の対価として適正でなければなりません。労務の内容によって判断する必要がありますので、高額の支給を考えておられる場合はそれが同業他社の一般的な水準と比較して大きく逸脱していないか検討しましょう。
事業に専ら従事する家族従業員の数、配偶者かその他の親族かの別、所得金額に応じて計算される金額を必要経費とみなす事業専従者控除の特例として所得から控除されることになります。
●認められる要件
・白色申告事業主の配偶者又はその他の親族であり同一生計であること
・申告年の末日に年齢が15歳以上であること
・申告年の年間に6ヶ月を超える期間、専ら(もっぱら)その事業に従事していること
・確定申告書に必要な事項(事業専従者控除を受ける旨や、その金額)を記載すること
●上限金額
事業専従者控除として、専従者1人当たりの認められる金額は、次のうちどちらか低い方までとなります。
・配偶者であれば86万円、その他の親族であれば50万円
・事業専従者控除をする前の所得の金額を、専従者の数に1を足した数で割った金額
(事業主も含めて所得を等分するイメージ)
(例)
専従者の数が1人 ・・・ 所得の2分の1
事業者の数が2人 ・・・ 所得の3分の1
所得税は累進課税となっている(所得が高くなるほど税率も高くなる)ため、事業主の所得が高額になる場合には、正当な範囲内で専従者に給与を支払うことで世帯全体の税金を抑えることが出来るようになります。
逆に、専従者としての取り扱いを受けると配偶者控除や扶養控除を受ける事が出来なくなるため、少額を支給するよりも無給のまま配偶者控除などを受ける方が結果として税金が少なくなる場合があります。
また、専従者は一般の従業員と同様に年末調整を行い、給与支払報告書を市町村に提出する必要があります。この提出期限は翌年1月末までとなっていますので忘れずにご提出下さい。
既存のお客様からは、リーズナブルな価格であると言われています。 私たちは、お客様の利益につながることが一番重要であると認識しており、中小企業経営者の最も身近な相談相手になれたら幸いです。 なお、当事務所は、多様化・複雑化する経営課題を解決するため、経済産業省から「経営革新等支援機関」として認定されています。