NFTに係る所得の確定申告


NFT(Non-Fungible Token)とは「代用不能なトークン」のことです。「Token」には「しるし、証拠、代用貨幣、商品券」といった意味合いがあります。平たく言えば「複製不可能なデータ」となります。
NFTの利用方法としては、元来複製が容易であったデジタルデータに付与することで、正規のNFTが付与されていないデータは複製品だと判別することが出来るようになります。
この技術により、デジタルデータの資産価値が保証されて、より活発な取引が行われるようになりました。それに伴いNFTの取引において利益が発生した場合にその課税関係がどのようになるか令和5年1月に国税庁からFAQが発表されています。
NFTに関する税務上の取扱いについて(情報)(令和5年1月13日)(PDF/832KB)
これを参考に、個人のNFTに係る所得税について解説していきます。

NFT商品を制作・販売した場合(一次流通)

事業所得又は雑所得に区分されます。事業性があれば事業所得、なければ雑所得となります。

●収入金額
収入として計上するべき金額は販売した時の価額です。イーサリアムなど暗号資産での支払を受けた場合には販売した時の時価で計算することになります。
暗号資産の出金時に発生する販売価額との差額は、販売時の所得と同じ区分での譲渡損益としてその所得全体を計算します。

●経費
事業所得の場合と雑所得の場合で経費として計上出来るものが変わりますので注意が必要です。雑所得の場合にはNFTを付与する本体商品の制作費が経費として認められません。NFTを付与する費用及び販売に要した費用などは経費となりますが、事業所得となる場合とでは所得金額が大きく変わってくることになるでしょう。
収入が大きくなることが見込まれる場合には、事業性を確保して事業所得としての申告が可能になるよう事前準備をしておくことが大事です。

NFT商品を購入・転売した場合(二次流通)

原則的に譲渡所得に区分されます。
ただし営利を目的として継続的に売買を行う場合には事業所得又は雑所得に区分されます。

●収入金額
収入として計上するべき金額は販売した時の価額です。譲渡所得として扱われる場合、暗号資産の出金時に発生する販売価額との差額は雑所得として区別する必要があります。

●経費
購入費用及び譲渡費用のみが経費となります(事業所得の場合はより広く経費に出来ます)。
譲渡所得として扱われる場合、特別控除最大50万円を経費に加算することが出来ます。
このため、私的利用を目的として購入したNFT商品であれば、転売して利益を得た場合でもそれが50万円未満であれば所得が発生することはありません(他にも譲渡所得がある場合を除く)。

ブロックチェーンゲームでゲーム内通貨を取得した場合

ゲーム内通貨を他の資産に変換可能な場合、雑所得に区分されます。

●収入金額
収入として計上するべき金額はゲーム内通貨の総額となります。ゲーム内通貨が付与される度に時価で算定することになりますが、それでは非常に煩雑になると考えらえることから、月に一度、若しくは年末に一括で評価する簡便法が認められています。

●経費
ブロックチェーンゲームの報酬を得るために使用したゲーム内通貨の取得価額の総額のみとなります。ゲームをプレイする為の機器代や通信費は経費となりません。

なお、ゲーム内通貨の時価を算定することが困難な場合、雑所得の金額を0円とすることが出来ます。この場合は他の資産に交換出来た時点で所得を計算することになります。

まとめ

NFTは新しい概念であるため、今後も法律の改正や見解の公表がある可能性があります。ここでまとめたもの以外にも、常に新しい情報に触れて参考にされますようお願い致します。
また、環境や法整備が追い付かずに詐欺などが多発している分野でもあります。ご利用の際は十分に注意して取扱って下さい。


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