給与の支払者は従業員から所得税を源泉徴収し税務署に納付します。この毎月の源泉徴収税額はあくまで概算であるため、1年間の所得を計算して年税額を算出すると、その期間の源泉徴収合計額との間に差額が出ることがあります。差額が出た場合は多すぎたものを還付、少なかった場合は追徴することになります。この一連の作業を年末調整と呼びます。今回は実務の流れを大まかに解説します。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
上記3枚を年末調整対象従業員に配ります。その際に書き方や、保険料控除証明書など添付が必要な書類について周知しておきましょう。
特に扶養控除や配偶者控除に係る所得金額欄など間違えやすい箇所があります。
解決に時間がかかる場合もあるので、疑問点があれば早めに従業員に確認する必要があります。
給与計算ソフト等を導入してあれば必要事項を入力すれば自動計算してくれますが、導入していない場合は手計算していくことになります。
国税庁のホームページ等から
・源泉徴収簿
・年末調整のしかた(最新年版)
をダウンロードし、手順に沿って源泉徴収簿を完成させていきましょう。
尚、年末調整の関係法令は毎年のように改正がありますので、最新年版であることを確認してから使用しましょう。
計算の結果、源泉徴収税額が年税額を上回った場合は還付を、不足した場合は追徴をする必要があります。
時期について定めはありませんが、年末最後の給与支給時、若しくは翌年最初の給与支給時に調整するのが一般的です。
1月10日までに(納期の特例を受けている場合は1月20日までに)源泉所得税の納付を行います。
この際に年末調整による不足税額、超過税額を調整して納付します。
超過税額が大きく、納付額が0円を下回る場合は納付書を税務署に提出し、翌月以降の納付時に未精算額を再度調整します。
年税額が確定したら源泉徴収票を従業員に交付します。
従業員が確定申告を行う場合などに必要になりますので、速やかに交付するのが望ましいです。
税務署・市町村共に、1月31日までに提出する必要があります。
●税務署
法定調書合計表に必要事項を記載の上、源泉徴収票を添付して提出します。
退職所得の源泉徴収票、不動産の使用料の支払調書など、必要に応じて別途作成して添付する必要があります。
●市町村
総括表に必要事項を記載の上、給与支払報告書を添付して提出します。
(市町村用は名称が変わりますが源泉徴収票と様式や記載事項は変わりません。)
提出先は事業所の所在地ではなく、各従業員の住所地にそれぞれ提出する必要があります。
以上が年末調整の実務になります。
一連の流れが終わった後でも扶養者の追加・除外など、修正を要する事実があれば、年末調整をやり直すことは可能です。1月末を超えてやり直す場合は市町村や顧問税理士等にご相談下さい。
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