よく目にする税金の中で消費税があります。日々の買い物でなんとなく支払っている方も多いと思います。今回は、消費税について簡単に紹介したいと思います。
消費税の歴史
大正時代から昭和初期にかけては、戦費調達の必要性から増税が続きました。一方、この時期に現在も続く税のしくみの基盤が築かれ始めました。
以下、現制度に至るまでの流れをまとめてみました。
時系列 | 内容 |
---|---|
1940年 | 源泉徴収制度が導入され、給与や報酬を支払う際に、その源泉から税金を差し引いて納税する仕組みが確立された。 |
1946年 | 日本国憲法が公布され、「納税の義務」が教育や勤労に並ぶ三大義務の一つとして定められた。これにより、国民の納税義務が法的に明確化された。 |
1947年 | 納税者が自主的に自分の所得や税額を計算して申告・納税する申告納税制度が導入され、納税者自身が自己申告を行い、適正な税金を納付する仕組みが整備された。 |
1950年 | シャウプ勧告に基づく税制改革が行われた。この勧告は、現在でも税制度の基盤とされている考え方であり、税制をより公平かつ効率的に運用するための指針となった。 これらの時代に確立された税制の仕組みは、現代の日本の税制の基盤を形成しており、経済や社会の変化に合わせてさまざまな改革が加えられてきた。 |
1987年 | 消費税導入のための法案が国会に提出されたが、反対が根強く、この時は成立せず。その後、1988年に再び法案が提出され、ようやく通過。 |
1989年 (平成元年) |
商品の販売やサービスの提供に対して3%の消費税が導入されるとともに、所得税の減税を含む大規模な税制改革が行われた。これは、経済社会の変化に対応し、財源の確保や税制の公平性を目指したもの。 |
1997年 (平成9年)以降 |
5%(地方消費税1%を含む)に増税され、2014年(平成26年)には8%(地方消費税1.7%を含む)に引き上げられた。そして2019年(令和元年)には、消費税率が10%(地方消費税2.2%を含む)に再度引き上げられた。これらの引き上げは、社会保障費の増加や高齢化に対応するための財源確保が主な目的。 |
消費税の概要
消費税とは、一言でいうと「モノやサービスを買う時にかかる税金」です。消費一般に広く公平に課税する間接税です。ちなみに、他の間接税で代表的なものが酒税と印紙税があります。
消費税の負担者
消費税は、事業者によって負担される税金ではなく、商品やサービスの価格に含まれており、最終的には消費者が支払うことになる税金です。事業者は消費税を商品やサービスの価格に転嫁し、消費税は消費者によって支払われます。消費税は、商品を購入する際に加算されるため、本来は消費者が税金を納める形となるはずです。
したがって、事業者は納税者ではなく、消費者の代わりに消費税を納めています。あくまで事業者は間接的な収集役なのです。消費税が間接税であるのはそのためです。これによって、国や地方自治体は必要な財源を確保し、公共のサービスや施設を運営・提供する資金を得ることができます。
まとめると、
◎負担する者⇒消費者
◎申告、納付する者⇒事業者
消費税の負担と納付の流れ
消費税は、生産や流通の各段階で重複して課税されることがないように、税制が工夫されています。上図に示されているように、課税売上高から課税仕入れ等の金額を差し引いて、その差額に対して消費税が課される仕組みです。
この方法により、商品やサービスの製造や販売過程での課税が公平に行われます。具体的には、事業者が消費税を収める際に、自らが商品を製造・販売する過程で支払った消費税を差し引いて納税するため、課税額が二重や三重になることを防ぎます。
このような仕組みにより、消費税は最終消費者が負担するものとなり、生産や流通の過程では累積されることがありません。この方法は公平性を確保するとともに、経済活動に対する過度の税負担を防ぐ効果があります。
申告と納付は誰が、いつ、どこに提出するのか。
納税義務者は、製造業者、卸売業者、小売業者、サービス業者、そして保税地域から外国貨物を引き取る業者です。
納税義務者は、消費税および地方消費税の確定申告書を、課税期間の末日の翌日から2か月以内に(個人事業者の場合は翌年の3月31日までに)所轄税務署長に消費税及び地方消費税の確定申告書を提出し、消費税と地方消費税を一緒に納付します。
さらに、直前の課税期間の消費税額に基づいて中間申告と納付が必要となる場合があります。
◎国内取引(事業者)= 所轄税務署長に申告・納付
◎外国貨物の引取者 = 所轄税関長に申告・納付