交際費は原則、損金不算入とされていますが、どのようなものが交際費となり、交際費にならない経費にどのようなものがあるか正しく認識することで、経費として計上していきたいものです。今回は交際費と混同しやすい科目について簡単に解説していきたいと思います。
●交際費とは?
交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。
(参考)国税庁 交際費の範囲と損金不算入の計算
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
●交際費は損金不算入だけれども・・・
交際費の額は原則損金不算入とされていますが、法人の規模によって一定の特例措置が設けられています。
・期末の資本金・出資金の金額が1億円以下である等の法人
年間800万円まで、1600万円を超える場合は交際費の50%にあたる金額までを損金算入できます。
・期末の資本金・出資金の金額が1億円超である等の法人
交際費の50%までの金額を損金算入できます。
・資本金100億円以上の法人
交際費の全額損金算入できません。
●交際費にあたるもの
その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為を交際費というとありますが、具体例を挙げるとゴルフ接待や手土産などの贈答品関係も交際費になります。飲食費も交際費ですが飲食については、一定の基準を満たしていた場合、会議費で計上することが認められるようになりました。
詳しくは当社HPの「1人当たり1万円基準における交際費等について」にて詳しく解説しています。
https://arm-tax.com/blog/blog71.html
●交際費のようだけど交際費にあたらないもの
広告宣伝費
不特定多数の者に対する宣伝効果を意図した費用を広告宣伝費として計上します。
例えば、抽選や金品引換権付販売時や一定の商品を購入する際の景品などとして一般消費者に対し金品を交付するための費用や一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用は交際費ではなく、広告宣伝費となります。工事見学者への試飲・試食や得意先に見本品や試供品の提供、自社の商品のモニターやアンケートに回答いただくための謝礼金なども広告宣伝費になります。ポイントとしては、自社の商品の一般消費者が対象であること、得意先であっても見本や試供品といった一旦試していただいて自社製品を知っていただくことを目的としていることです。
福利厚生費
従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については福利厚生費として計上します。福利厚生費には、法定福利厚生費と法定外福利厚生費があります。
法定福利厚生費とは、法律で企業に義務付けられている保険などにかかる費用のことです。例えば、健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の事業主負担分があげられます。
法定外福利費とは、法律上の規定ではなく、各企業が独自に従業員の健康や慰安を目的として行うことに要した費用のことです。例えば、健康診断や従業員のための水やお茶などの飲料費、創立記念日や社員総会などに際し、従業員におおむね一律に提供される飲食費、従業員、またはその親族等のお祝いや不幸などの際に一律に支給される結婚祝い、出産祝、香典、見舞金などです。ポイントとしては、社会通念上想定さる金額であること、また従業員に対して一律(どの従業員に対しても供与されるもの)であることです。一部の従業員だけ支給する場合には給与課税になってしまう可能性があるため注意が必要です。
寄附金
事業に直接関係のない者に対する金銭の贈与は、原則として寄付金になります。
例えば、社会事業団体、政治団体に対する寄付金、神事の祭礼等の寄贈品です。また関係会社であっても被災した会社に対して贈与する見舞金も寄付金にあたります。神事催事等の寄贈品に対しては事業主の個人の支出とみなされると役員給与扱いになってしまうため注意が必要です。
寄付金については、個々の実態をよく検討した上で判定する必要があります。
●まとめ
交際費は会社の資本金・出資金によっては限度額内で損金算入することが出来ますが、その上限を超えてしまうと損金算入が出来なくなります。交際費にあたらない経費については正しい勘定科目で処理することで無駄なく損金経理を行えます。今回は、交際費と混同しやすい科目について解説しましたが、各科目についても注意しなければいけない点も多いため、不明な場合は専門である税理士または税務署へお問合せいただき正しい科目で損金経理を行いましょう。



