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防災用品の経理処理について

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 今やどこの地域でも災害が起こる可能性があります。

 最近では、南海トラフ地震や豪雨による水害も発生しています

 今回は、企業が防災用品や非常食などを購入した場合、法人税上はどのように取り扱われるのか説明していきます。

防災用品について

 防災用品は、災害発生時での迅速な対応の促進、安全確保のために重要なものです。また、災害時にライフライン(電気・ガス・水道)が途絶えたり、食料や日用品の供給が絶たれたりした場合に、最低限の衣食住を確保して支援を受けられるまでの繋ぎ期間を乗り越えることが出来るようになります

 東日本大震災をきっかけに、全国各地の自治体で、防災ハザードマップの整備や備蓄計画の策定が進み、一般市民や企業に対して食料備蓄や防災用品の備え付けを促す政策が施されてきました。それに伴い、自治体によっては災害対策や被災支援の補助金や助成金、給付金が設けられているところもあります。

企業は防災に取り組む努力義務がある

 企業が防災に取り組むことは、従業員やお客様の命を守り、地域の住民や雇用環境を守る上でとても重要です。大きな災害が発生した時、何の対策もできていなければ、事業の継続が困難になってしまいます。

防災用品の経理処理について

 企業が防災用品を購入した場合、その費用の一部を事業年度において法人税の損金(「消耗品」として処理が認められます。)に算入することができます。これは、国が災害に備えて必要な備品や設備を揃えるために、企業の購入負担を軽くし、リスク管理の促進のための措置です。

 損金に算入について、国税庁の質疑応答事例では下記のように示されています。

①食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつものであること。

②その効果が長期間に及ぶものであるとしても、食料品は、減価償却資産(法人税法施行令第13条)又は繰延資産(法人税法施行令第14条)に含まれないこと。

③仮に、当該食品が法人税法施行令第10条第6号((棚卸資産の範囲))に掲げる「消耗品で貯蔵中のもの」であるとしても、災害時用の非常食は、備蓄することをもって事業の用に供したと認められること。

④類似物品として、消火器の中味(粉末又は消火液)は取替え時の損金として取り扱っていること。

※なお、備蓄のための飲食料品は、目的が備蓄であったとしても消費税法上8%の軽減税率が適用されますので、経理処理時10%としないよう注意が必要です。

非常用保存食について

 原則では、消耗品ではあっても未消費で貯蔵中のものについては、棚卸資産に計上することになっています。ただし、毎期おおむね一定数量購入し、また経常的に消費する消耗品に限りその購入金額を事業年度において損金経理ができることになっています。

 原則通りあれば、非常用保存食は棚卸資産に計上しなくてはならない場合がありますが、上記国税庁の質疑応答の回答にある通り、期末の在庫として資産計上することなく、全額を購入時に消耗品費として損金算入ができます。

防災用備品について

 防災用備品としては、消火器、ヘルメットや懐中電灯、蓄電池装置などが考えられます。基本的には、消耗品または器具備品として取扱い、10万円以上の購入額である場合は減価償却の対象となります。

 ただし、青色申告の届出を提出していることが要件ですが、1点あたり30万円未満(年間合計300万円まで)であれば、少額減価償却資産の特例を利用することにより購入年度に一括で損金算入できます。

非常用食料品を社員に配布する場合

 非常用食料品の場合、消費期限が近くなってしまい、処分に困ることがあると思います。処分の判断として、破棄するよりも従業員に配布することがあるかもしれません。その際、全従業員に配布する条件であれば現物給与としてみなされませんが、一部の社員にのみ配布する等一定の条件下では現物給与だとみなされる可能性があります。現物給与となる場合、社員にとっては所得税の課税対象となります。また社会保険料の金額に影響する可能性があるため、非常用食料品を社員に配布する場合は、所得税や社会保険料のことも考慮に入れたうえで判断しましょう。

まとめ

 今回は企業において防災用品の取扱いについて説明しました。損金に算入できるかどうか判断が難しいものが出てくるかもしれません。減価償却の対象となる資産を誤って全額損金に算入してしまうと税務調査で指摘を受ける可能性がありますので注意が必要です。

 様々な災害リスクが叫ばれている中、税務リスクに結びつかないよう正しく理解したうえで、非常時の備えを行っていきましょう。。

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