私たちの身の回りには、働いている方に所得に応じて課される「所得税」や買い物の際にその代金の支払で負担している「消費税」などの税金があります。 税金には、課税の主体が国の『国税』と、地方公共団体の『地方税』とがあります。また地方税は、『道府県税』と『市町村税』に分けられます。納付者と負担者が同じ税金を『直接税』、税金の納付者と負担者が違うものを『間接税』といいます。 今回は、代表的な税金を例に税のしくみについてお話させていただきます。
直接税 | 間接税 | ||
---|---|---|---|
国税 | 所得税、法人税、相続税、贈与税など | 消費税、酒税、たばこ税、関税など | |
地方税 | 道府県勢 | 道府県税:道府県民税、事業税、自動車税など | 道府県税:地方消費税、道府県たばこ税、ゴルフ場利用税など |
市町村税 | 市町村税:市町村民税、固定資産税、軽自動車税など | 市町村税:市町村たばこ税、入湯税など |
(国税庁HP引用)
消費税・地方消費税
消費税は国税、地方消費税は地方税ですが、負担及び納税はまとめて行われ、2つまとめて「消費税等」と呼ばれます。「消費税等」は、消費一般に広く公平に負担を求める間接税で、最終的に商品を消費したり、サービスの提供を受ける消費者が負担者、事業者が納税義務者となります。事業者は、消費者等から受け取った消費税等と商品の仕入れ及び必要経費などを支払った際の消費税等との差額を納税します。
所得税
個人の所得(収入-経費などを引いたもの)に対してかかる税金で、所得が多くなる人ほど税率が高くなります。所得税は、一年間のすべての所得から色々な所得控除(扶養控除などその人の状況に応じて税負担を調整するもの)を差し引いた残りの所得(課税所得)に税率をかけて計算します。税率は、所得が多くなるほど段階的に高くなる累進税率となっていて、支払能力に応じて税を負担するしくみです。
納税方法は、会社に勤めている方、個人事業主など自分で商売をしている方では納税方法が違ってきます。
(会社勤務の方)
本人⇒会社(源泉徴収、納税)⇒税務署
※会社勤務など給与所得者であっても、下記に当てはまる方は確定申告が必要となります。
①給与の年間収入が2,000万円超
②1か所から給与支払を受けている方で、給与所得及び退職所得以外の所得の合計の金額が20万円超の方
③2か所以上から給与の支払を受けている方のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計が20万円超の方
※給与の収入金額の合計から、雑損控除、医療費控除、寄付金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下の方は、申告の必要はありません。
④同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料等を受け取っている方
⑤災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている方
⑥源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている方
⑦退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる方
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
(国税庁HP引用)
住民税(道府県民税・市町村民税)
住んでいるまたは会社がある都道府県、市区町村に納める税金で、道府県民税も市町村民税も一括して市区町村に納めます。道府県民税と市町村民税は合わせて「住民税」と呼ばれており、住民がそれぞれ住んでいる、法人であれば会社がある都道府県や市区町村に納める税金です。「住民税」は、住民や会社が定額で負担する金額(均等割)と、前年の所得の額に応じて負担する金額(所得割)から成り立っています。
法人税
法人(株式会社、有限会社、合同会社など)の所得に対してかかる税金で、会社は決算期(1事業年度)ごとにその期間の所得をもとに税額を計算して決算期後に確定申告、納税をします。
酒税
お酒(ビール、日本酒、ワインなど)にかかる税金で、製造者または輸入者が納税しますが、税金は価格に含まれているため、負担しているのは消費者となります。酒税はアルコール分1度以上の飲料が対象になり、税額はお酒の種類やアルコール度数によって細かく決められています。
例:ビール1缶(350㎖)の場合・・・酒税は約64円(181,000円/㎘)
日本酒一升瓶(1,800㎖)の場合・・・酒税は180円(100,000円/㎘)
ワイン1本(750㎖)の場合・・・酒税は75円(100,000円/㎘)
関税
外国から日本に品物を輸入しようとする場合にその輸入品にかかる税金のことで品目毎に細かく設定された税率に応じて課税されます。原則として貨物の輸入者が納税します。
固定資産税
土地や家屋、償却資産(車両やパソコンなどの備品等)にかかる税金のことで、その所有者が、資産価値に応じて算定された税額を固定資産の所在する市町村に納税します。(※東京都23区内の場合は東京都に納税)
税額は、課税標準額×税率(原則1.4%)となります。
※税率は、市町村が必要に応じて、1.4%と異なる税率を条例で定めることができます。また、新築住宅特例など場合により減額措置が適用されることがあります。
まとめ
個人の所得税については、働き方の多様化等で、今まで本業のみだった方も兼業や副業をするなど本業以外の給与で収入が出てきている方も増えてきていることと思います。その際に、例えば所得金額の合計が20万円超となると確定申告が必要となりますので注意してください。また、固定資産税については、経費として認められる税金であり、法人や個人事業主の方は仕訳方法や各種減額措置についてよく理解していく必要があります。